もう有名な書なので、ここで特に語ることがないくらいです。 が、私が感銘したところ、は福岡先生と同じく オズワルド・エイブリー でしょうか。 遺伝子の基本は、たった4つの物質であることを、世紀の大発見していながら、その栄誉に与することがないまま一生を終えたエイブリー。 後の科学者2人組はその数十年後に ノーベル賞の栄誉に預かるのですから、何とも言えません。 エイブリィーは結婚もせずに研究一筋。 最後は田舎暮らしの隠遁生活で終えるのですから。 後の人は、誰も彼を悪く言わないのでしょう。 それにしても 福岡伸一 先生。 バリバリの理系、正真正銘のポスドク。 一体だれが こんな素晴らしい"物書き"としての才を見出したのでしょう? この本が今なお売れ続けている理由に、文才に加え、やはりポスドク、それもアメリカ暮らし、ニューヨーク暮らしのポスドク経験が 間違いなくあげられるのですが
それでも、その後の フエルメール を題材にした著書を読無限り、ポスドクで開花せずとも いずれ文筆家で 名をなしたであろうことは、疑いません。 それくらい "一気に読ませる" 力のある書ですね。 余談ですが以前、何かの機会で偶然 福岡伸一 著作発表会 即売会でサインをもらいました。 その際に 「優れた仕事、優れた作品はどうすればできるのでしょう?」と 自分でも予定外の質問を、いきなり福岡先生に ぶつけたことがあります。 先生は一瞬だけ驚き、考える表情。 でもすぐに前を向いて静かにサインを続けながら 「好きになることです。自分の仕事を」 と答えました。
福岡伸一 著"生物と無生物の間"=仕事を好きになることで生まれた。
ニック・レーン著 "ミトコンドリアが進化を決めた"を読む
もともと、この本を読む きっかけは 夏井 睦 先生の"炭水化物が人類を滅ぼす" の中で紹介されていたのが始まりでした。 その手前には 「傷や褥瘡はむやみに消毒しない」「消毒が良い傷や褥瘡は限られている」との言葉に、ショックを受けたのが原因です。 また私達「介護職」は「薬」の適否に判断できません。 傷や褥瘡に対する知識をまずは"夏井理論"でかじろうと手にした著書が、まさか"脱肥満書"でもあり はたまた=細菌・微生物学 への考察を求める内容であるとは 梅雨ほどにも思いませんでした。 しかもこの本、ニック・レーンは、ベテランのジャーナリストであり編集者。 ありがたいことに、その道ン十年の経験と 豊富な知識から来る考察を 余す所なく、語ってくれてはいますが 何分素人ではとても追いつけません。 数多の知識、事例を随所に織り込んだ 理論展開は、圧倒的でもあり 一苦労二苦労でもあります。 =科学者、研究者の頭脳のすごさに嘆息します。 そしてそれを関連書に活字にする職業の方にも、もはや脱帽です。 その分、読む方も 読み方に比例して 知識も増えます。 しかし、忙しい人にはオススメしません。 面白くて難しい良書です。 私は年に何度も再読・挑戦しています。
"あなたの体は9割が細菌" アランナ・コリン著を読む。オススメですよ。
著者は女性で ALANNNA COLLIN 原題は "10%HUMAN" 。 これは直訳すると "1割人間" なるほど。 なので日本版タイトルは "あなたの体は9割が細菌" なのですね。
タイトルで 「言いたいことはだいたいわかった」 となるのですが、読むとやはり感動します。
私達の 「知らなかった事実」を 視点を変えた見方で 簡単、軽く紹介してあるので、気分も重くならず疲れません。 帯の 「肥満も アレルギーも うつ病も 微生物が原因だった」 その理由を いくつかの研究者、事例を上げて紹介しています。 →納得。 現代病とも言える 「肥満」 当たり前の「食べ過ぎ、運動不足」を、ひっくり返す細菌感染 の可能性を、本書では述べている。 →これも納得。 哺乳類、のみならず生物の遺伝子を操作し、脂肪を蓄積させている可能性を "アデノウイルス36" は示している。 抗生物質と人類史の 肥満という切り口からの 展開はほ~なるほど!と唸る。 好感が持てるのは、抗生物質を否定していない内容だ。 多くの人類の命 を救ってきたのも、また抗生物質の業績 であることも述べている。 そして近年、ヨーグルト に代表されるように、プロバイオティクス商品が 需要を伸ばしてきているのは、抗生物質に代表される "アンチバイオティックス" 花盛りの時代が、「耐性菌」の出現などに示されるように、そろそろ限界を迎えつつある その予兆ではあるまいか。 この本を読むと 到来する 「次の時代」 の予感を 感じさせてくれます。 活字は細かいですが、語りも 専門用語も重くなく、力まずリラックスして読める著書です。 「一気読み」も「合間読み」も叶う良書です。
朗報ー喘息の新治療法 気管支サーモプラスティ
今月 15日の琉球新報の記事です。 那覇市立病院が 県内で初めて 18歳以上の重症喘息に限り、「気管支サーモプラスティ」なる 新治療法を導入するそうです。 1回1時間を 右下肺 左下肺 左右上肺の計3回を 内視鏡付きの 電極で温めるものだそうです。 気管支周辺の筋肉を温めて、発作を起こりにくくする、のだとか。 この治療法が"すごい"と思うのは、効果が5年間続くところ。 私も以前は喘息患者でした。 約5年間ほど。 私の場合、風邪がひきがねで、治った後に、なぜか咳だけが治らずに長引き、ついに喘息発作に至る、のがパターンでした。 最初は冬に発症。 翌年から秋に発症。 その次の年には夏から発症、と、とうとう健康な日よりも 咳ごんでいる日の方が 長くなっていきました。 知らなかった。 こんな治療法。 もっと早く知っていれば、多くの時間を無駄にせずにすんだのに。 薬をどれだけ飲んでも、よくなる実感がなかっただけに、つらい思いばかりでした。 それにしても"温める"とは。 確かに喘息発作が出た時は、胸を温めると咳が和らぐ気がします。 でも咳が治まらない時は、息が出来ないので、顔も真っ赤になって汗も鼻水も 出まくります。 咳をおさえこもうと息を止めても、喉の奥の器官のあたりから、ブワッと咳が出てまいります。 何に対する反応か? 何が刺激になったのか? 咳が治まってから考えるのですが、 発作のさなかは考える余裕もないほど、苦しいものです。 さてともかく、世の中から苦しみが減るのは良いことです。 特に喘息は他人事ではなく、自分ごとでもあり、ひさびさに明るさを感じたニュースでした。
終末を考える・・・石飛 幸三先生に共感
先日の 宮古毎日新聞さんの記事。 その中に介護とは切っても切れない 終末=終わり方についての 考え方、捉え方を石飛幸三 先生が語っていました。
やはり同業者 は、同じような考え方として 共感される方も多いのではないのでしょうか。 より自然に近い 逝き方。 そして痛みや苦しみから 解放され逝き方であれば なお良いですよね。 でもそのためには、 終末を迎える方は、いつ来るやもわからない、その時に備えて、生前から家族と 話し合うことが必要になりますね。 話し合える環境。 日本ではまだ そのあたりが メディアも含めて 遅れているように感じますね。 急速に薄れていく "家族の絆"を感じますが、みなさんはいかがでしょうか?